空気を縫い込んだバッグ
- 2019.04.07 Sunday
- 展覧会
広坂の/galleryで開催中のgirls forever展は2週間が過ぎました。
スタート時には、まだ硬いつぼみだった百万石通りの桜も、この週末でいよいよ満開、
華やかな様子を見せてくれています。
今回は、高知にて制作されている岡林尚子さんの作品をご紹介させていただきます。
岡林さんの作品で特筆すべきは、全て手縫いで制作されているという事。
細かな間隔でリズミカルに、かつ、繊細にステッチされた縫い目には、たくさんの方が心を奪われています。
使用する生地の端をまつるのも、ロックミシンなどは使われません。
手縫いで制作される理由についておうかがいしてみた所、
「編み物のような感覚で、好きなんです。」
と教えて下さいました。
運針をすすめていくにつれ、平らな布だったものから少しずつバッグの形ができてゆく、
岡林さんのバッグ。
一段ずつ、一目ずつ編み進めるごとに、1本の糸が手袋になったりカタチになっていく、
編みもの。
その、“自分の手を動かして少しずつ完成に向けてすすんでゆく”という感じが、編み物に似て、お好きなのではないかと感じました。
また、できるだけ生地の無駄な部分が出ないよう継ぎ足したり、古いキレを使っているので、ダメージの大きい所などを補修されたりなさっているのですが、その部分が、とても愛らしいデザインとしてバッグの持つ魅力を倍増させてくれているのです。
岡林さんが、素材の柔らかさや風合いなどの感触を確かめながら縫われた作品は、手縫いならではの優しさが感じられ、何とも言えない幸福感を味わわせてくれます。
高知の気持ちよい空気を一緒に縫い込んだような、そんな岡林尚子さんのバッグを、是非店頭にてご覧下さい。
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